“様々なプレッシャーが大波のごとく押し寄せ
60歳過ぎて立ちはだかる壁との闘いだった“
これは“Ben-Joe”で
ヒロインと渡り合う
先生役を演じた火田詮子の言葉だ
彼女は地元が誇る重鎮俳優
“Ben-Joe”の現場では
様々な苦労が彼女を襲った
膨大なセリフ・特殊メイク・体を張った演技・てっぺん(※)を超えても続く撮影の日々等
しかし現場ではそんな辛労辛苦など
微塵も感じさせず
早朝から元気に合宿所に現れ
現場の士気を上げ
撮影中はどんなに待ち時間が長くなろうが
どんなにリテイクが重なろうが
そして、どんなに撮影時間が遅くなろうが
一切不平のたぐいは口にせず
真摯に演技に打ち込む
それどころか
いつも共演者の人たちやスタッフに気を遣い
場を和やかな雰囲気にする
ベテランにもかかわらず
その謙虚な姿勢に感心することしきりだった
私が彼女を初めて目撃した
朗読会での語り
その気迫はそのまま
“Ben-Joe”へと注入された
すべての撮影を終え
彼女は撮影についてこう振り返った
“諦め感のない穏やかで熱い現場
遠いと感じていた津具の道のり(※)が
日に日に近くなっていった”と
彼女は本当に唯一無二
かけがえのない存在だと
今回の撮影を通して改めて感じさせられた
監督 岩松あきら
※てっぺん:深夜0時
※彼女は毎回約200キロを自家用車で早朝深夜を往復していた

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