これほど編集で苦労するとは
思ってもみなかった
これが今の正直な気持ちである
撮影現場では
脚本通り撮れない条件があったり
新たなアイディアが浮かんだりして
脚本から多少の変更をすることもあるが
大方脚本通り撮影をして
大方脚本通り繋いでいく
一般的に映画の“編集”というと
そんなイメージかと思う
そんなイメージ通り
「Ben-Joe」も脚本に近い形で繋いだ粗編集(※)を行い
その後 短く刈り込んでいく作業を行い
2時間40分程度のバージョンが出来上がった
しかしここからが
悪夢の始まりだった
できる限り2時間に近づけるため
大幅にシーンをカットし
シーンの順番を大胆に入れ替えたり
撮影素材を使って脚本にない新たなシーンをつくりだしたりと
格闘に格闘を繰り返している
編集のアイディアに行き詰まった時
思い出すのがこのエピソード
ウッディ・アレン監督は
「無快感症」という殺人ミステリーを粗編集したら
3時間以上になってしまったらしい
困り果てたウッディ・アレン監督は
編集者に恋愛のシーンだけを繋いだらと助言される
その助言を受け入れ編集を重ね
タイトルをヒロインの名前に変更して完成させたのが
アカデミー最優秀作品賞を受賞した
「アニー・ホール」なのだ
このエピソードを思い出しながら
試行錯誤を繰り返し
「Ben-Joe」は現在
何とか2時間10分台までに漕ぎ着けた
はたして終わりは近いのか
監督 岩松あきら
※ 粗編集とは、すべての撮影素材からNGカットを除いて、概ね脚本に従って大雑把に繋ぐ作業。
写真は、「アニー・ホール」のポスター(「Internet Movie Database」より)
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