この映画の成功は
ヒロインの俳優にかかってるから
絶対に妥協しないで
脚本を読んだ関係者たちは
口々に私に言った
そして私たちはヒロイン探しに
丸々3年間の月日を費やした
一次審査、二次審査、三次審査…
オーディションを進めていくと
不思議なことが起きた
ヒロイン候補の志願者たちが
次々と自ら辞退をしていったのだ
理由を尋ねると
自分にはやりきる自信がないという
役柄の重さに
押しつぶされてしまったのか
私たちの熱意に
怖れをなしてしまったのか
それでも私はひたすら
未来のヒロインを探し続けた
気づけば
制作発表まで一か月を切っていた
そんな中
東京から三河へと
一泊二日のオーディション合宿に参加した
一人の志願者がいた
オーディションと言いつつも
劇中のシーンのリハーサルを重ね
未来について語り合い
その結果私たちは
ついに「Ben-Joe」のヒロインが
目の前に居ると確信する
リハーサル・撮影と進むにつれ
その確信はさらに強いものになり
ヒロインを演じるのは
彼女以外考えられない
そんなかけがえのない存在となる
彼女の粉骨砕身の
闘いについては
また後日語ることにしたい
監督
岩松あきら
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