紀里谷和明監督が
ハリウッドで「ラスト・ナイト」を撮ったとき
出演していたモーガン・フリーマンに
“自分はこれからもっと
いい映画をつくりたい
どうしたらいいのか“
そう尋ねたら
一言こう言われたそうだ
“Listen”
よく“聴く”こと
この答えに紀里谷監督は
いい演技をするためにも
このことは大事なことなんだろうと
感じたという
全くもって同感なのだが
“Ben-Joe”の制作中
人の話をよく聴く人だと
感じた役者がいる
マイコ役を演じた大路絢果だ
彼女はまるで子どものように
人の話を素直に真剣に聴く人だ
想像力を働かせ
相手の立場に立って聴く
役者にとって非常に大切な力だと思う
彼女が演じたマイコという役は
リアリティを与えることが
とても難しい役であり
演じられる役者が
リハーサルギリギリまで見つからず
このまま見つからないのではないかという
焦りが正直あった
しかし彼女は現れた
9階のリハーサル室に
自転車を抱えて(※)
しかも私たち同様
ハングリーで意欲満々の
チャレンジャーであった
撮影現場でのムードメイカーとして
獅子見琵琶と双璧をなし
いつも現場を明るく盛り上げた
またそれまでの舞台の
大道具担当の経験を生かし
セット建設にも貢献
ここでも窮地は
チャンスに変わったのだった
監督 岩松あきら
※大路のメインの移動手段は自転車なのです。
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